劇大きな舞台には もう上がれない。光を当てられたくない もう演じたくない。 だから僕は いつも客席から劇を見てる。 僕が必死に演じていたあの劇も ここから見れば 唯のつまらない劇だった。 変わり映えの無い劇。 変えられない脚本。 仲間たちが言う。 お前がいるべき場所は あの舞台の上だと。 でも 僕はもう戻れない。 戻りたくは無い。 ある日 僕は客席にいる人と知り合った。 彼も 舞台から降りてしまった人。 気がつけば 周りにも 舞台から降りた人達が沢山いた。 気がつけば ここも 小さな舞台になっていた。 ここでもまた 変わり映えの無い劇が始まって 変えられない脚本をなぞっていく。 この小さな舞台から 逃げても 逃げたその先だって 舞台なんだ。 舞台から降りることなんて できない。 降りちゃダメだ。 僕はやっと気づいた。 だから、僕はこの小さな舞台で必死に劇をする。 大きなライトは無いけれど 沢山の観客はいないけれど。 どんな小さな舞台にも 同じ舞台の仲間がいるから。それだけで。 僕の劇は 僕が作る。 |